こういった悩みに答えます。
この記事を書いた人
馬越脇 崚(まごえわき りょう)
・フリーランスのサックス奏者
・TV出演、プロオーケストラ、舞台音楽、有名ライブハウス出演多数
・講師歴10年以上
本記事の内容
演奏面でカッコよくする方法
音色の改善メニュー
実際に僕が使っているセッティングについて
サックスはどんな曲にも合うし、何を吹いてもかっこいいですよね・・・!そんな中でもやはり定番なのは「名探偵コナン」ですよね!
サックスを知らない人でもこの曲は知っている!という方も多いことから、レパートリーとしては確実に押さえておきたいところですが、そのまま吹いてもなかなかカッコよくならないのが現実です・・・
今回は演奏面ですぐに改善できるポイントに加えて、音色の改善メニューや僕が実際に使っている道具をご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
演奏面での改善に関してはこちらの動画でまとめておりますので、よかったらご覧ください!
では早速解説していきます。
演奏面でカッコよくする方法
コナンはもともとメロディがかっこいい曲ですが、ちょっとした工夫でかなり雰囲気を出すことができます。
まずは何もしていないシンプルな楽譜をご覧いただきたいと思います。
in Eb (Alto sax 用)
in Bb (Tenor,Sop sax 用)
これらの楽譜に対して以下の3つの工夫をしていきたいと思います。
①装飾音符をつける
②ビブラートをかける
③メリハリをつける
順番に解説していきます。
①装飾音符をつける
サックスの演奏を手っ取り早くカッコよくするのに、こちらの方法がおすすめです!
たくさんのプロの方の演奏を聞くと、本当にたくさんの装飾音符が入っているのがわかると思います。ただどこにどうつけたら良いかわかりませんよね・・・。
今回はこちらのポイントに気をつけて付けてみましょう!
①最初の音
②高い音の前
③好きなところ
実際につけた楽譜はこんな感じです。
in Eb (Alto sax 用)
in Bb (Tenor,Sop sax 用)
わかりやすいように赤丸で囲んでみました。それぞれのポイントごとに装飾音符を付けてみましたが、これだけでもだいぶ雰囲気が変わるのでぜひお試しください!
②ビブラートをかける
続いてはこの楽譜にビブラートをかけていきたいと思います。ただどこにでもかければ良いというわけではありません!基本的には長く伸ばす音にかけていきましょう。短い音に細かくかけすぎてしまうと、ただ基礎力が低くて音が震えてしまっているように聞こえるので要注意です。
実際にかけるポイントとしてはこんな感じです。
in Eb (Alto sax 用)
in Bb (Tenor,Sop sax 用)
これらの赤枠で囲った音にかけるようにしてみましょう。この時ビブラートのかけ方にポイントがあります。
ポイント
まっすぐ吹いてから音の最後に素早くかける
これはジャズサックスの音源を聴いていただくとよくわかるのですが、音の終わりでビブラートをかけると非常にジャズっぽく演奏することができます!
もちろん音の頭からかけても良いのですが、少しクラシカルな感じに聞こえるのでご自身の目指す方向性に合わせて使い分けていただけると良いと思います。
③メリハリをつける
最後は曲にメリハリをつけるということをやっていきたいと思います。具体的には、「滑らかに吹く部分」と「短く吹く部分」を作るということです。最初の楽譜のままだと全ての音をタンギングすることになりますが、それだとフレーズがブツ切れになってしまうため、スラーをかけスタッカートを付けていきたいと思います。
実際の楽譜はこんな感じです。
in Eb (Alto sax 用)
in Bb (Tenor,Sop sax 用)
これはあくまで一例なので、必ずそうしないといけないというわけではありません。ただ、一本調子でずっと吹いてしまうと吹いている方も聞いている方も飽きてしまうので、表現にメリハリを付けてあげるとより音楽的に演奏できるかと思いますので、ぜひご自身でいろいろお試しください!
音色の改善メニュー
表現の振れ幅が広がってきたら、次は音色を見直してみましょう!
こう思われる方もいるかと思いますので、具体的な改善の工程をまとめてみました!
・理想の音をイメージする
・マウスピースを見直す
・リードを見直す
こちら順番に解説していきます。
理想の音をイメージする
サックスは「クラシック」と「ジャズ」で大きく二つに音色が分かれています。また、さらに細分化していくとクラシックの中でも「暗めの音」と「明るめの音」がありジャズの中にも「ビバップ」や「フュージョン」など様々なジャンルに合わせた音色があります。闇雲に練習してもなかなか進んでいかないと思いますので、具体的に理想の音を見つけることが技術向上への近道だと思います。
僕はアルトだとエリックマリエンサルテナーだとエリックアレキサンダー
が好きです!(たまたまダブルエリックですが・・・笑)
こんな感じでぜひ理想のプレイヤーや音色を見つけてみましょう。
マウスピースを見直す
理想の音が見つかったら、次はマウスピースを見直していきましょう。サックスは様々なパーツをカスタマイズできますが、音色に大きく影響を与えるのは口に近いパーツだと思います。
・リード
・リガチャー
・マウスピース
この中でも一番重要になってくるのがマウスピースです。他2つのパーツはマウスピースに合わせて選ぶことでより性能を引き出すことができるので、まずは中心になるものを決めてしまいましょう。
これも先ほどの話につながりますが、出したい音色に合わせてマウスピースの方向性というものを決めていきましょう。
ざっくりこんな感じです
種類 | クラシックラバー | ジャズラバー | メタル |
使い方 | クラシック | ジャズ、ファンク | ジャズ、フュージョン、ファンク |
この中でも大量の候補があり、日々新しい製品も出たりビンテージもあったりと完全に沼ですが、出したい音に近づく嬉しさは何にも勝ると思いますのでぜひ探求してみてください。好きなプレイヤーのセッティングを参考にするのも大変重要だと思います!
リードを見直す
マウスピースが決まったらついにリードを選んでいきましょう。リードも各社たくさんの種類を出していますが、大きく2種類のカットがあります。
・ファイルドカット
クラシックや吹奏楽などでよく使われるタイプで、まとまった明るい音が出やすい。ファンクやポップスなどもに使用される。
・アンファイルドカット
ジャズでよく使われるタイプで、カットがシンプルなので低音の倍音が入りやすく、サブトーンなどが出しやすい。ファイルドカットに比べると少しダークな音になる。
ざっくりとした特徴はこんな感じですが、もちろん良い音が出れば何を使っても良いと思いますので、ぜひ両方試していただくと良いと思います。今までクラシックをやっていた方で、初めてジャズ用のマウスピースを使用される方などは、アンファイルドカットのリードを買ってみるとかなり音が変わるのでおすすめです!
僕のセッティング(アルトサックス )
ここまでざっくりとしたマウスピースやリードの特徴などを解説してきましたが、参考までに僕のセッティングをご紹介したいと思います。クラシックとジャズ用それぞれありますので、試奏などされる際にぜひ参考になさってください。
クラシック用
まずはクラシックで主に使っているマウスピースとリガチャー、リードをご紹介します。
しなやかな音色が特徴で、吹奏楽で映えるような音色になります。
Selmer S90 170
JLV Gold
D'Addario レゼルブ 3.0+
Jazz用
ジャズで使っているセッティングもご紹介します。
主にコンボやビッグバンドなどで使用しております。太くて暖かい音色が出るのが特徴で、フュージョンなどパワーがいる演奏には向きませんが、とてもジャズらしい雰囲気の出せるセッティングになっています。
Gottsu セピアトーンVI A/5
Woodstone KODAMA Ⅱ
Vandoren JAVA 3
楽しく練習しましょう!
いかがでしたでしょうか。
今回は「名探偵コナン」をカッコよく吹くためにというところから、音色の改善メニューや僕の具体的なセッティングなどご紹介させていただきました。耳に入ってくる情報として、表現を鍛えるのは確実な方法ですが、そもそもの音色を見直すことでさらに思い通りの表現に近づくことができるので、ぜひいろいろお試しください!
お金はかかりますが・・・(涙)