こういった悩みに答えます。
この記事を書いた人
馬越脇 崚(まごえわき りょう)
・フリーランスのサックス奏者
・TV出演、プロオーケストラ、舞台音楽、有名ライブハウス出演多数
・講師歴10年以上
本記事の内容
〈全楽器共通〉
・ピアノを使ったトレーニング
〈サックスの人向け〉
・マウスピースを使ったトレーニング
〈発展的練習〉
・普段の楽器練習と組み合わせたトレーニング
楽器を練習していると必ずぶつかる壁として「音感」というものがありますよね。「あの人は音感がいい」とか「私は音感がない」などといった言葉を聞くことがありますが、もちろん音感の精度に関して才能や耳の機能の差はあると思います。ただ、トレーニング次第でその精度を上げることはできます!
実際僕も音大を受験するまではそういったトレーニングを全くしていなくて、ピアノの「ド」の音すらも分からずかなり苦労しましたが、地道なトレーニングによってある程度は精度が上がってきたと思います!
すぐに実践できる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧いただたいて日々の練習をより良いものにしてもらえたらと思います!
では早速解説していきます。
ピアノを使ったトレーニング
やはり音感を鍛えるにはピアノのように基準となる音が一定に出せる楽器を使うことをおすすめします。もしピアノがない場合は、このようなピアノのアプリで全然大丈夫です!
ピアノアプリ
楽器の準備が整ったら早速トレーニングに入っていきましょう。
具体的には以下の3つのステップで進めていきます。
ピアノでのトレーニング
- 1つの音を鳴らして歌ってみる
- C-Dur(ハ長調)を丁寧に音とりしていく
- 2つの音の距離をとる練習をする
①1つの音を鳴らして歌ってみる
まずはピアノの真ん中の「ド」の音を弾いて、その音程を歌ってみましょう。一回でとれた方はぜひ違う音でも試してみてください。なかなか安定しない方は、ピアノの音を聞いてからその音程を想像してから歌うようにしましょう。数回繰り返せば取れるようになるので、今度はランダムにピアノを弾いて音をとる練習をしてみましょう。
②C-Dur(ハ長調)を丁寧に音とりしていく
単音での音とりが安定してできるようになったら、次は音階を取れるようにしていきましょう。まずは一番シンプルなC-Durでやっていきます。
順番にピアノで音を弾いてハミングしてみましょう。慣れてきたら上りだけでなく下りでも練習してみてください。
③2つの音の距離を取る練習をする
ドを基準にして、そこから上に音を取る練習をしていきます。まずはピアノで音を弾いてからハミングしてみましょう。
慣れてきたらピアノなしでハミングで音をとってから、ピアノで確認するという練習もしてみましょう。
また、ドからの距離が安定して取れるようになったらランダムな音で同じように音程をとる練習をしてみてください。
〈サックスの人向け〉マウスピースを使ったトレーニング
ピアノだけでも十分にトレーニングすることはできますが。実際に普段吹いている楽器を使って練習することでより実践的に耳を鍛えることができます。サックスの人向けの内容として書いていますが、マウスピースがある楽器だったら同様の練習ができると思いますので、ぜひ試してみてください。
こちらの練習も以下の3つの手順で行います。
マウスピースでのトレーニング
- マウスピースだけで音を出す
- チューナーで音程を確認する
- 音程を下げてまた戻してみる
①マウスピースだけで音を出す
まずはまっすぐ音を出してみます。この時に音程は特に気にしなくていいので、音のブレがないように安定するまで伸ばしましょう。
②チューナーで音程を確認する
音がまっすぐ伸びるようになったらチューナーを使って今の音程を確認してください。この時、チューナーの針が真ん中でない場合もありますがそれも気にしなくて大丈夫です。今出ている音がどれくらいなのかわかれば問題ありません。
F#の大体真ん中くらいを指していますが、マウスピースの種類によって音程は大きく変わります。
③音程を下げてまた戻してみる
チューナーで確認した音程からまずは半音下げてみましょう。チューナーの針が左に倒れていって、さらにアルファベットの表記が1段階下がれば成功です!その状態で安定させてから最初と同じ音程に戻していきます。
先ほどF#の真ん中あたりを指していた針が、Fの真ん中あたりを指しているのでこれで半音下がったことになります。
このようにマウスピースを使って音程の上下を操作することができるので、具体的にどれくらいの音程を下げたのか、上げたのか把握しながら練習することで音感をさらに鍛えることができます。また、音程の操作は耳だけでなく楽器の技術向上にも繋がるのでぜひ練習してみてください。
普段の楽器練習と組み合わせたトレーニング
ここまでは音感を鍛えることに特化したトレーニングをご紹介してきましたが、最後に普段の練習の中で行えるトレーニングを解説していきたいと思います。いつもの練習の中で行えるのでより無理なく続けることができ、今までの2つの方法と併せてより音感を強化できると思います。以下の3つの方法で行います。
楽器練習の中でのトレーニング
- 音名を読み上げて練習する
- 音の跳躍が大きい部分の音程をチェックする
- 連符の到達点の音程をチェックする
①音名を読み上げて練習する
これは一番有効なトレーニングだと思います。特に楽譜を読み慣れている方こそ実践していただきたい内容になります。譜読みが早い場合、感覚的に音符を追うことができるので音名をそこまで意識しなくてもなんとなく吹けてしまったり、弾けてしまうことが多いと思います。実際に僕もなんとなくで音符を追えてしまっていたのであまり気にしていなかったのですが、音名をきちんと読み上げて譜読みしていくことで、どれくらい音程が離れているのか意識することができる上に、より正確に楽譜を読むことができます。音符が多くなるほどきちんと音程感覚が取れなくなってくるので、ぜひ実践してみてください。
こういった複雑な連符やリズムがある場合は特に注意して音名を確認しましょう。
②音の跳躍が大きい部分の音程をチェックする
金管楽器や弦楽器の方はきちんと音程を意識しないとそもそも音が取れないと思いますが、木管楽器の場合は指さえ合っていれば音は出てしまいます。そのせいで音程をきちんとイメージしない癖がついてしまいますので、ぜひ木管楽器の方はこれに気をつけてみてください。オクターブを超えた調薬などは特に音程が不安定になりやすいので、ご自身で練習されている曲の中でこういった部分の音程を探して練習してみてください。
少し極端な例ではありますが、これくらい音程感覚が離れているフレーズもあるので、必ず音程をチェックするようにしましょう。
③連符の到達先の音程をチェックする
蓮符を吹くことに必死になってしまってついほったらかしになってしまいがちですが、連符の到達先の音程は必ずチェックするようにしましょう。速い音符はそこまで1つ1つの音が耳に入ってきませんが、最終的にたどり着いた先の音は印象に残ります。また、蓮符をどんなに頑張っても最後の音程がおかしいとまとめて印象が悪くなってしまいますので、必ずチェックしましょう。
このように最後だけ2分音符で伸ばすなんてこともよくあると思いますので、要注意ポイントです。
ここまで細かくトレーニングするのはなかなか大変ですが、小さいことを少しずつ意識していくことで音感が鍛えられていき、最終的にはチューナーに頼らずに比較的安定して音程をとることができるようになるので、ぜひできるところから実践してみてください!