こういった悩みに答えます。
この記事を書いた人
馬越脇 崚(まごえわき りょう)
・フリーランスのサックス奏者
・TV出演、プロオーケストラ、舞台音楽、有名ライブハウス出演多数
・講師歴10年以上
本記事の内容
・まずはブルースをやってみる
・コードを覚える
・ブルースでコードを吹いてみる
サックスといえばジャズのイメージが強い楽器ですが、サックスを吹いている方の大半は吹奏楽部出身で、元々書いてある譜面通りに吹くという訓練をたくさんしている方が多いのではないでしょうか。僕も中高と吹奏楽部に所属していたため、まさに譜面通りに吹くことを徹底的に訓練されてきました。しかし、吹奏楽の譜面でも「アドリブソロ」って出てきますよね・・・! 僕は学生の時、どうしたらいいのか分からず適当に吹いてしまっていましたが、少しずつ訓練することでなんとかアドリブソロを組み立てることができるようになりました。ソロが吹けると今まで以上にサックスを楽しむことができますので、ぜひ最後までよんで技術を獲得してもらえたらと思います!
一度で全部を解説するとボリュームがありすぎるので、まずは第一弾として大きく分けて3つのポイントで解説していきます。
ブルースは知ってる!Ⅱ-Ⅴについて知りたいんだ!という方はこちらの続編をどうぞ!
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サックスでアドリブソロを吹くためのトレーニング その②
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まずはブルースをやってみる
ジャズの基本といえばジャズブルースです。ブルースというのはジャンルの1つで、アメリカで生まれた音楽です。12小節で1区切りされており、のちにロックやジャズに大きな影響を与えました。このブルースをもとに発展したものがジャズブルースで、もとのブルースよりも少しだけコードが複雑になっていますが、12小節1区切りというところは変わっていません。
ジャズのアドリブを始めるときは、必ずこのブルースからやるのが無難とされており僕も実際にここから入りました。なぜこのブルースが初心者に最適なのかというと、以下の理由からです。
・コーラスの区切りがわかりやすい
・コードがシンプル
・1つのスケールでソロを取れる
コーラスの区切りがわかりやすい
大体のジャズスタンダードは1コーラス(曲の1区切り)あたり32小節で構成されていることが多いですが、それでも例外はたくさんあります。特に初心者の場合はロストしやすい(今どこを吹いているか分からなくなる)ので、12小節と決まっている方が今どこにいるのか分かりやすくなります。
コードがシンプル
ブルースの場合コード進行が決まっているので、理解しやすい上に覚えやすいというメリットがあります。
出てくるコードが数種類しかないことが見てわかるかと思います。普通のジャズスタンダードだと途中で転調したりして、もっと複雑なコードがたくさん出てくる可能性が非常に高いです。
1つのスケールでソロを取れる
これがブルース最大のメリットといえるでしょう。普通ソロをとる場合は、それぞれのコードに適したスケールを選択し、コード進行を分析してそれにあったフレーズを吹く必要がありますが、ブルースの場合は以下のブルーノートスケールを使えばどの小節だとしてもソロをとることができ、またとてもいい感じになります。
ヘキサトニックと書いてありますが、6つの音で構成されているのでヘキサと呼びます。
実際にブルースを吹いてみる
ブルースのことと使えるスケールがわかったので、早速吹いてみましょう!
アカペラでやってもいいのですが、雰囲気を出すためにカラオケ音源を探しましょう。ジャズのブルースはピアノのF Majorで演奏されることが多いので、今回はそのキーで演奏してみたいと思います。メロディが入っていないカラオケ音源のことをマイナスワンと呼ぶのですが、YouTubeで「F blues -1」と検索すると大量にカラオケ音源が出てきます。こちらをかけながら以下の譜面をご覧ください。コードの構成音が書いてありますが、それを吹くのはまた後ほど触れますのでとりあえず小節数とコードを確認するものとしてお使いください。
Eb用
Bb用
そして、これに合わせてこちらのスケールを適当に吹いてみてください!笑
かなりそれっぽくなったかと思います!
ポイントとしては、このスケールはこの順番で吹くのがかっこいいということです。適当に並び順を変えてもいいのですが、この並びのまま上がってみたり下ってみた方がジャズっぽいサウンド感になりやすいので、セットで使うことをおすすめします。これらを様々なリズムやアーティキュレーションで吹くことで簡単にソロを取ることができます。
コードを覚える
では次の段階として、コードを覚えていきましょう。ジャズのスタンダードでソロを取るには、ブルーススケールだけでは流石に歯が立たないのでコードを利用してソロを構成していく必要があります。そのためにはまずコードの構成音を覚えていきましょう。
C メジャー ダイアトニックコード
これはCメジャースケールの上に、規則的に音符を重ねたものでダイアトニックコードと呼ばれています。Cメジャーの曲で現れるコードの基本的な形を網羅しているので、これらを覚えることでコードの基礎を学ぶことができます。
また、以下のような特徴があります。
C,F,Gはメジャーコード(明るいコード)
Dm,Em,Am,Bmはマイナーコード(暗いコード)
とりあえずこれだけ頭に入れておいて、何も考えずにコードの構成音を覚えることをおすすめします。メジャーコードやマイナーコードに法則はあるのですが、いちいち考えているようだと実際の演奏では到底間に合わないので、丸暗記しましょう。ダイアトニックコードにおけるメジャーコードとマイナーコードの並び順は、他の調に移っても変わらないのでそこも覚えておくといいでしょう。
Fブルースにおけるダイアトニックコード
これらは先ほど触れたFのブルースにおける、Eb管とBb管それぞれのダイアトニックコードです。全てピアノ基準でコードを覚えてしまうのもいいのですが、パート譜に書いてあるコード進行は大抵移調して書いてあるので、それぞれの管ごとにコード進行を覚えておくのがいいでしょう。ぜひこちらを参考に練習してみてください。
Eb用
Bb用
ブルースでコードを吹いてみる
ここまでで、ブルースのコード進行とダイアトニックコードを理解してもらえたかと思います。では次のステップとして、ブルースのコード進行に従ってそれぞれのコードの構成音を吹いてみましょう。先ほどブルースの小節数を確認するのに貼った楽譜と同じものになります。
Eb用
Bb用
これらの譜面を見ながら、Fブルースのマイナスワンをかけて構成音を吹いてみましょう。ここで1つポイントになるのが、8小節目のE7のコードです。これはダイアトニックコードには含まれていないため、非常に耳に残る響きがすると思います。この部分の、「Bm7→E7→Am7」というコードの流れのことを「ⅡーⅤーⅠ(ツーファイブワン)」と言います。これはジャズにおける非常に非常に重要なワードになるので、また次回のアドリブ解説の際に深く掘り下げていきたいと思いますので、ひとまずこのワードと構成音を覚えるようにしてください。
続編としてジャズのアドリブ講座その②として「ⅡーⅤーⅠ(ツーファイブワン)」について書いておりますのでぜひご覧ください!
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サックスでアドリブソロを吹くためのトレーニング その②
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