こういった悩みに答えます。
この記事を書いた人
馬越脇 崚(まごえわき りょう)
・フリーランスのサックス奏者
・TV出演、プロオーケストラ、舞台音楽、有名ライブハウス出演多数
・講師歴10年以上
本記事の内容
・緊張したときの症状を知る
・具体的な対処方法
・僕が実際にやっている対処方法
楽器を演奏したり、人前で話したりすることってすごく緊張しますよね!
せっかく練習して仕込んできたことも全部忘れてしまって、体が震えたり汗が出たりとにかくいつもと違うことがたくさん起きてしまうと思います。それによって、思っていたパフォーマンスを発揮することができずに、結果を出せないことも多々あると思います。僕も実際かなり悩みました・・・。
しかし冷静に対処すれば克服することができますし、本番の度に辛い想いをすることを減らすことができますので、ぜひ最後まで読んでいただけたらと思います。
では早速解説していきます。
緊張したときの症状を知る
これをまず最初に行う必要があります。緊張すると言っても心拍数が上がるだけの人もいれば、震えてどうにもならなくなってしまう人もいます。具体的に起きる症状を知ることで対処が可能になるので、まずは冷静に自分の状態を把握しましょう。具体的にはこのような問題が起きるかと思います。
①口が乾く
②手が震える
③足が震える
④覚えたことを忘れる
①口が乾く
楽器を演奏するだけでなく、講演会などで人前で喋らないといけないタイミングがあるかと思いますが、そういった時によく起きます。当然ですが口が乾いてしまってはうまく喋ることができず、それでまた緊張が増して口が乾く・・・といった負のループに入りやすいです。
②手が震える
楽器演奏の際に、震えてしまってうまく曲が吹けない(弾けない)ということが起きます。速くて難しいパッセージなど、練習ではできていたことが全くできないという状況に陥ってしまいそれで焦って余計パニックに・・・なんてことも多いと思います。
③足が震える
片足もしくは両足が震えてしまって重心が安定しなくなります。普段何気なく立っていたのに、急にどっちの足を前にしていたか分からなくなってしまって、変な姿勢のまま演奏やスピーチなどが始まってしまうということがよく起きます。
④覚えていたことを忘れる
話そうと思っていたことや全体の進行、覚えていた曲などを忘れてしまいます。練習の時には問題なかったのに、切り出しの言葉や最初の音が思い浮かばなくて、そもそも始められないなんてことも起きます。
これ以外にも人によってそれぞれ症状は違うかと思いますが、具体的に何が起きるのか把握しましょう。また、そのときの状況やコンディションも理解しておくと、どういった状況の時にそれが起きるのかわかるようになります。
具体的な対処の方法
緊張したときの症状が分かったら次は実際に対処していきます。
全ての症状に細かく対処していくのも重要ですが、あまり多くのことを一度に抱えてしまうとそれがかえって緊張の原因になってしまうので、以下の2つのことを意識することをおすすめします。
・練習の時に本番の状態を作り出す
・震えは抑え込まない
①練習の時に本番の状態を作り出す
これが一番重要で、本番の環境の再現ができていない為に緊張してしまうと言ってもいいでしょう。練習の時に予期していなかったことが起きてしまうことで動揺してしまい、本来のパフォーマンスを出せないことが大半だと思います。
例えば、
・人前だと緊張してしまう・・・
この場合は、練習の時に人前での演奏や講演を想像してリハーサルを行っておきます。実際に人を呼ぶことができるならそれが理想ですが、難しい場合は想像するだけでもかなり効果があります。よりリアリティを増す為に当日の時間や移動などから想定しておくと効果的です。
・広いところで緊張してしまう・・・
普段狭いところだけで練習していると本番の時の部屋の大きさに圧倒されてしまうことが多々あります。ですので、なるべく広い部屋やスペースを借りるなどしてリハーサルをしておくことをおすすめします。広いところに立たされると、最適な立ち位置すら分からず動揺してしまうので実際に長さを測ったりできるとより効果的です。
②震えは抑え込まない
手や足の震えに関しては、押さえ込もうとすると余計震えてしまいます。
ですので、決して押さえ込もうとせず冷静に対処しましょう。具体的にはこのような感じです。
・手が震える
(演奏の場合)ちゃんと練習していれば震えていても指は回るので落ち着いて演奏しましょう。そう思い込みましょう。笑
(講演の場合)身振りを使って話すと動きに意識がいくので、少し震えが落ち着いてきます。
・足が震える
重心を変えてみましょう。右や左などの片足重心や、両足重心での前、真ん中、後ろなど全パターンを試すことをおすすめします。そのうち落ち着くところが見えてくるので、それまでは決して震えを止めようと力まないように注意しましょう。
僕が実際に行っている対処
僕自身はとても緊張しやすく、子供の時から習い事の発表会や大会などに参加してきましたが、どれもめちゃくちゃ緊張しました。今は仕事で人前に出ていますが、学生の時は震えすぎて上手く喋れなかったくらいでした。しかし以下の方法で練習することで、本番の動揺を大きく抑えられるようになりました。
①ウォーミングアップなしでいきなり通して録音してみる
②楽器を吹かずに何度もイメージトレーニング
③指遣いが難しいところは逆再生
楽器の練習に関することが主ですが、講習会やライブでのMCについても同じように対処しています。
①ウォーミングアップなしでいきなり録音
楽器の演奏の場合、始める前に必ずウォーミングアップをして準備万端な状態を作りますが、あえてこれをせずにいきなり通すという練習をしています。これは、実際の本番の際に十分なウォーミングアップが取れるとは限らないので、その状況に合わせています。こうしておけば、ウォーミングアップがないということで動揺せずに演奏することができます。また、ミスをすることに体が慣れてくれば落ち着いて演奏を先に進めることができます。練習のたびに完璧を意識しすぎていると、1回でもミスをした時にそこから動揺が始まってしまってさらにミスを呼んでしまうことがあるので、自分が完璧にはできないということを知る上でもこの練習は大変効果があります。
②楽器を吹かずに何度もイメージトレーニングをする
楽器の演奏や人前での喋りというのは、予め脳内で行ったリハーサルの再現だと思っています。ですので、まずは頭の中で想像してからそれを楽器や実際の講演で行うという流れを作ります。具体的には、頭の中で音名を思い浮かべながらフレーズを歌ってみたり、本番と同じ声量で話している想像をします。これがなかなか難しく、なんとなく適当にイメージしてやっていると本番ではうまくいかないので、実際の立ち位置やライトの明かり、ステージ上の暑さなど細部まで想像して脳内で再生します。
③指遣いが難しいところは逆再生
これは楽器限定の対処になりますが、速いパッセージを演奏する際に同じ方向からのみ練習していると、急に指がもつれてしまったり音が分からなくなってしまうということがあります。それを防ぐ為には、譜面通りにそのまま吹く練習の他、逆再生して吹いてみることでフレーズを立体的に捉えることができます。
ドレミファソというフレーズがあれば、ソファミレドと吹く感じです。
緊張に負けずに頑張りましょう!
緊張するということは、それだけ集中していて大事に思っているということの裏返しなので、無理に押さえ込もうとせずにむしろ状況を楽しむくらいの余裕があるといいですね。ガチガチに緊張している自分を俯瞰してみると、かなり笑えるかと思います。笑 大変なプレッシャーを抱えて迎える本番もあるかと思いますが、それまで準備してきた自分を信じてステージを楽しみましょう!